2009-01-01から1年間の記事一覧

森山大道「新宿」

〜研ぎすまされたモノクロームの都市〜 写真界に生ける伝説として君臨する森山大道。 過剰とも言えるハイコントラストなプリントと、日常に介在する不安をえぐるような被写体。一目見て彼の手による作品だとわかる作品群は、アートと呼ぶにはあまりにも重く…

ことば「極北」

〜ウルティマ・チューレとは何か〜 例えば「日本人ギタリストの極北」などという表現を雑誌や本で良く見かける。 なんとなく「最高到達点」的な意味だろうなーなんかかっけーなーと考えていたのだが、最近自分で文章を書いていて使用しようと思い、ふと気に…

光文社新書「就活のバカヤロー」

〜生肉のまずさを知れ〜新書は現代の出版業界においてかなり大きな存在になりつつある。文学はとっくの昔にサブカルみたいなもんになってしまい、雑誌は部数が下げ止まらない中でそれなりの存在を示している。雑誌にちょっと足した値段で、ビジネスマンの通…

NewBalance M1300

〜The King of Sneaker〜 ブーツ全盛の冬の街でもお洒落にスニーカーを履いている人は目に留まる。スニーカーはこの二十年でファッションアイテムとしての立ち位置を確立した。その原点となる伝説的モデル、それがNewBalanceのM1300であると僕は思っている。…

スタンダール「赤と黒」

〜全人類マストな恋愛小説〜 今さら語るまでもない世界文学の傑作。2007年に出た野崎歓の新訳が誤訳だという話で話題になったが、僕が読んだのは学研の世界文学全集に収録されている古屋健三訳。 赤と黒〈上〉 (岩波文庫)作者: スタンダール,桑原武夫,生…

AC部・伊武雅刀のホームページ

〜スーパーバランスな映像世界〜 伊武雅刀のホームページ。レベル高い。 伊武雅刀 開いた瞬間吹き出す。かなりのセンスの持ち主に間違いねえ。ベテラン俳優にもかかわらず、こういったセンスをしっかり持ち続けるのはさすが伊武雅刀。オリジナリティがなきゃ…

佐藤春夫「美しき町」

〜建築マニアの幸福な小説〜 佐藤春夫がどんな作家かと定義するのは難しい。大正中期から昭和30年代と活動期間が長く、「田園の憂鬱」のような純文学作品から「神々の戯れ」のようなエンターテイメント色が強い作品まで広い作風で小説を書き、詩人でもあっ…

西森博之「お茶にごす。」

〜西森博之のマンガ方法論〜 「今日から俺は!!」「天使な小生意気」といったヒット作を続けた西森博之は一軍は張らないけれどもしっかりと固定ファンがいる漫画家だろう。彼のマンガは不良とケンカが絶対に出てくるのにマガジンのマンガのような泥臭さはまっ…